
来年の手帳を選ぶ季節になりました。
書店に並ぶ紙の手帳を眺めながら、「スマホで予定を管理できるのに、今年も買うのか」と考える。紙と電子の比較は、もう何度も繰り返されてきたテーマです。
ただ、2027年の手帳を考えるうえで、私には加えたい選択肢があります。AIです。
私は2026年、AIを本格的に使い始めました。その中で大切だと感じたのが、「自分のことを、背景も含めて伝えておくこと」でした。
例えば、旅行の相談でも、予算、移動手段、好きな過ごし方がわかっていれば、自分に合う計画を考えやすくなります。毎回それを説明する代わりに、日々の記録として残しておくわけです。
こうした、話を理解するための背景情報を「コンテキスト」と呼びます。
そこで、まず続けているのがAIを使った記録です。何をしたかだけでなく、何を考え、なぜそう決めたのかも少しずつ残しています。感覚としては、自分のナレッジ、つまり経験や知識がここに詰まっている、という存在になってきました。
もちろん、自分の知識がすべて保存され、AIがいつでも正確に取り出せるという意味ではありません。それでも、手帳に求める役割を考え直すきっかけにはなりました。
紙の手帳とAI——書く自由と、記録を整理する力
紙の手帳のよさは、書き方を自分で決められることです。
予定の横に感想を書いてもいい。矢印でつないでも、図を描いてもいい。ページを開けば、予定とメモが同じ場所にあり、文字の大きさや余白も含めて見渡せます。充電や通信も必要ありません。
ただし、書いた内容をあとで整理する作業は、自分で行います。
例えば、手帳のあちこちに「旅行に行きたい」「この店が気になる」「この日は休めそう」と書いてあっても、それらを結びつけて計画にするには、ページを探して読み直す必要があります。
AIには、渡した記録をもとに整理を手伝ってもらう使い方があります。「旅行に関するメモをまとめて」「まだ決めていないことを挙げて」と頼み、次に考える材料を作る方法です。
画像を読み取れるAIなら、紙の手帳を写真に撮って渡す方法もあります。ただ、手書き文字や矢印、略語が正しく読み取られるとは限りません。日付や金額、固有名詞は、読み取り結果を確認する必要があります。
紙を選んだらAIを使えないわけではありません。紙に自由に書き、必要な部分だけAIに渡す。そんな組み合わせも考えられます。
従来の手帳アプリとAI——予定の管理と、背景を含めた相談
カレンダーや手帳アプリは、日時の決まった予定を扱うときに便利です。
予定を登録し、変更し、通知を受け取る。繰り返しの予定を設定したり、過去の予定を検索したりする。具体的な機能はアプリによって違いますが、予定管理のための仕組みが用意されています。
一方、日々のメモは、きれいな予定の形になっているとは限りません。
「来月、旅行に行きたい。でも予算が気になる」
「今週は予定を詰めすぎた」
「これを始めたいけれど、何から準備すればいいかわからない」
こうした記録には、日時だけでなく、希望や事情、迷いが含まれています。
AIを使う利点は、その背景も文章で渡し、相談を続けられることです。記録をもとに準備事項を整理したり、自分が書いた理由と照らし合わせて計画を見直したりできます。
ただし、AIに相談したことと、予定が登録されたことは別です。
「来週やること」をAIがまとめても、カレンダーに入っているとは限りません。通知や自動登録には、対応する機能や外部サービスとの連携が必要です。「伝えたから覚えているはず」「時間になれば知らせてくれるはず」と考えず、登録結果を確認する必要があります。
ここでは、予定管理を中心とするアプリと、対話型AIを比較しています。AI機能を備えたアプリもあるため、実際に選ぶときは製品名だけでなく、できることを確認したいところです。
AIを手帳として使う、一番のメリット

私がAIで記録を続ける理由は、記録を次の相談に使いたいからです。
例えば、「今週は何をしたか」を整理するだけなら、一週間のメモを読み返すことでもできます。しかし、その記録を渡したうえで、「持ち越したことは何か」「来週、先に取り組むならどれか」と対話を続けられるところに、AIを使う意味があります。
自分で読み返すだけでは整理しきれなかったメモも、問いかけを変えることで別の形にまとめられます。
例えば、次のように頼めます。
この一週間の記録から、完了したことと持ち越したことを分けてください。記録にない事情は補わず、不明な点は不明としてください。そのうえで、来週の予定を考えるための確認事項を挙げてください。
ただし、記録が多ければ、それだけでよい答えになるわけではありません。予定と実績、検討中と決定済みが混ざっていれば、AIも取り違える可能性があります。
「いつの話か」「実行したのか」「まだ考えている段階なのか」。こうした区別を残すことが、あとで使える記録につながります。大切なのは文章の量を増やすことだけでなく、自分の経験や判断の背景をわかる形で残すことだと感じています。
デメリットは、確認と管理が必要なこと
AIは、渡した内容をいつも正確に理解するとは限りません。メモの意味を取り違えたり、書かれていない事情を補ってしまったりすることがあります。
また、過去の会話が保存されていることと、その内容すべてが毎回の回答に使われることも同じではありません。保存や参照の仕組みは、サービスや設定によって異なります。
大切な予定や金額、決定事項は、AIの回答だけで確定させず、元の記録と照合する必要があります。長く使うなら、費用に加え、通信が必要か、記録を取り出せるか、別のサービスへ移せるかも確認したい点です。
整理を頼める便利さの一方で、確認と管理の手間がなくなるわけではありません。
入れる情報と、入れない情報を決める

記録をためるとき、もう一つ欠かせないのが情報の線引きです。
自分の趣味やアイデア、公開して差し支えない活動の記録と、他人の個人情報や仕事上の機密情報は、同じようには扱えません。
パスワードや認証コードは入力しない。仕事の情報は所属先の規則に従う。他人の氏名や連絡先、家庭の事情などは、本人の許可や利用目的を確認せずに渡さない。手帳の写真にも、必要のない情報が写っていないか確認する。
自分自身の健康や家計の情報についても、入力前にサービスのデータの扱い、学習への利用、保存や公開・共有の設定などを確認したいところです。
名前を伏せれば十分とは限りません。日付、場所、出来事の組み合わせで誰の話かわかる場合もあります。相談に不要な情報は省き、渡す範囲を絞ることが基本になります。
「自分の経験や知識をためる」といっても、すべてを無条件に入力する必要はありません。
2027年、手帳にどこまで求めるか
紙は、自由に書き、ページを見渡したい人に。手帳アプリは、予定の変更や通知を活用したい人に。AIは、残した記録を整理し、相談しながら次の行動を考えたい人に。
一つに統一する方法も、組み合わせる方法もあります。
私は2026年、AIに記録を残すことを続けながら、背景をためる大切さを感じてきました。その経験から、2027年の手帳選びでは「どこに書くか」に加えて、「書いたものをどう使うか」も考えたいと思っています。
予定を忘れないためなのか。日々を振り返るためなのか。考えを育てるためなのか。
そこを決めてから選ぶと、紙、アプリ、AIそれぞれの役割も見えてきそうです。
※本文のイラストはAIで生成したイメージです。特定のアプリの画面や機能を示すものではありません。